総統が70年後の現代(2014年)にタイムスリップしてくる!ひょんなことからテレビに出演して激似のモノマネ芸人として人気を博す。しかし,その魅力的なカリスマ性に,ナチスを猛省したはずの現代のドイツ人も恐る恐るだがだんだんと引き込まれていく。
ドイツ国内を回って国民と対話したり,政治家やテレビ討論番組の司会者とのやりとりは,まるでドキュメンタリー映画のように撮っている。だから,これは本当のことなのか映画なのか分からなくなる仕掛けになっている。
しかし,こういうタブーを真正面から扱うドイツはすごい。自分たちドイツ人の過去の過ちに眼を瞑らず,絶対に繰り返してはいけないことを忘れないために,ヒリヒリと痛む古傷をあえて確認しているようである。これは決して自虐ではなく,むしろ勇気である。
ちなみに,ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)を見つけて一緒に旅をして対話を撮影したりテレビに持ち込んだり主演映画を撮ったりした準主役のザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)の衣装は,『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ(マイケル・J・フォックス)のパロディですね,たぶん。
★★★★