2018年10月16日

帰ってきたヒトラー(原題:Er ist wieder da)(ドイツ,2015)

総統が70年後の現代(2014年)にタイムスリップしてくる!ひょんなことからテレビに出演して激似のモノマネ芸人として人気を博す。しかし,その魅力的なカリスマ性に,ナチスを猛省したはずの現代のドイツ人も恐る恐るだがだんだんと引き込まれていく。

ドイツ国内を回って国民と対話したり,政治家やテレビ討論番組の司会者とのやりとりは,まるでドキュメンタリー映画のように撮っている。だから,これは本当のことなのか映画なのか分からなくなる仕掛けになっている。

しかし,こういうタブーを真正面から扱うドイツはすごい。自分たちドイツ人の過去の過ちに眼を瞑らず,絶対に繰り返してはいけないことを忘れないために,ヒリヒリと痛む古傷をあえて確認しているようである。これは決して自虐ではなく,むしろ勇気である。

ちなみに,ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)を見つけて一緒に旅をして対話を撮影したりテレビに持ち込んだり主演映画を撮ったりした準主役のザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)の衣装は,『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマーティ(マイケル・J・フォックス)のパロディですね,たぶん。

★★★★


2018年10月7日

クローン(原題:Impostor)(アメリカ,2001)

ゲイリー・シニーズ主演の,アメリカSFサスペンス映画。

西暦2079年,高度な文明を持つケンタウリという異星人による侵略からの抗戦を続ける中,スパイ罪で捕らえられた科学者スペンサー・オーラム。地球の議長と会談する予定を控えた彼は,強力な爆弾が内臓されたケンタウリのクローンだと言うのだ。もちろん本人に身に覚えはない!

原作はフィリップ・K・ディックの短編『にせもの』(The Impostor)の映画化。

スペンサーは,本物なのか?偽者なのか?そして映画の衝撃的ラスト。さすがディック。

★★★★