2019年12月29日

スターウォーズ:最後のジェダイ(原題:Star Wars: The Last Jedi)(アメリカ,2017)

ルーク登場。レジスタンスはファースト・オーダーの圧倒的戦力に防戦一方。最後の望みを,ルーク・スカイウォーカーに託す。レイは戦いの中でフォースを覚醒させ,ルークのもとでさらにその能力を高めていく。

ファースト・オーダーの最高指導者スノークは,ダース・シディアスみたいな怖さや圧倒的な強さはあんまり感じませんでした。なんていうのか,やっぱり,人が演ずるかCGかの違いかなぁ。そもそも,ダース・シディアスが帝国軍を率いてルークと戦っていたとき,一体どこにいたんだ?何百歳みたいなのに。

それから,物語的には,Ⅰ~ⅢやⅣ~Ⅵみたいな,なんていうか「深み」みたいなものがないようにも思う。気のせい?なんか,こう,想像力を刺激する独特の世界観(武器,マシン,生物,習慣など)が色々と広がっていて,それがまた面白いと思うんけど,いろいろと出てくるものの,新しさはあんまり感じない。それに,物語の構造や場面設定として,ファースト・オーダーとレジスタンスという戦いの規模が狭い(小さい)ような,その分,映画としてのスケールも小さいような・・・。

というわけで,圧倒的不利なレジスタンスが,これからどうなるのか。物語としては,とりあえず,まずⅨを期待。

★★


2019年12月28日

スターウォーズ:フォースの覚醒(原題:Star Wars: The Force Awakens)(アメリカ,2015)

設定が手堅いから,気楽に楽しめます。懐かしのキャラ登場で,涙腺が緩む。映画特有のご都合主義なところが散見されて,それがちょっと気になったけど,全体的には面白い。この後の展開が楽しみ。

★★★


2019年11月29日

ターミネーター:ニュー・フェイト(原題:Terminater: Dark Fate)(アメリカ,2019)

T2の「正式な」「本当の」続編?ということは,T3とかT4とかT5とか,シリーズは「なかった」ことになってるのか(笑)。アクションやCGは,ホントによくできてる。2時間,飽きさせない作り。今度の敵ターミネーターもかなりしつこくて気持ち悪い。分裂する。

しかし,ジョン・コナーを抹殺完了し,「目的」である任務を終えたT-800が,なぜ「目的」を自ら設定し直してその時代に居続けるのか,そこんところの説得力はどうかなぁ~。だって,殺戮マシンだろ~。

でも,まぁ,アクションの緊迫感はとっても良かった。ターミネーターの魔の手からダニー(未来のリーダー)を守るためにやってきた,改造人間(強化型兵士)グレースというのも良かった。

★★


2019年11月18日

狼よさらば(原題:Death Wish)(アメリカ,1974)

チャールズ・ブロンソン!

Death Wishシリーズの第一作。暴漢に妻を殺され,娘をレイプされた中年のエリートビジネスマンが,銃を手にすることで街(ニューヨーク)のチンピラ(強盗)を殺しまくる「ビジランテ(自警団)」もの。2018年には,ブルース・ウィルスでリメイクされました。

原題のDeath Wishは,訳すと「死の願望」ですが,これ,精神分析の「死の本能」ですね。

チャールズ・ブロンソン演じるポール・カージーは,最初,チンピラを殺してしまって,震えて嘔吐するのですが,やがて自ら夜な夜な街に出て,人気のないところを彷徨い,襲われるのを待ちます。だから,自己防衛(正当防衛)の範疇を超えて,悪党狩り(殺し)をしていることになります。映画は一面的にはこれを(銃社会を)肯定するように描かれていますが,一面的にはそれを皮肉っている部分もあると思いました。

シリーズで何作も続くので,当時も人気があったのだろうし,今,改めて観ても,飽きさせない作りになっています。

★★


禅 ZEN(日本,2008)

日本曹洞宗の開祖・道元の物語。登場人物の大半は実在の人物であり,映画という枠内で物語としてうまく絡んでいる。身心脱落や只管打坐など曹洞禅の真髄を映画の中で正確に説明・表現するのは難しいと思いますが,そこは映画なんだから多少置いておけば,物語として泣けました。原作は,『永平の風:道元の生涯』(大谷哲夫)。

観よう観ようと思って,公開から10年以上が経ってしまっていました。

★★


2019年11月13日

IT/イット”それ”を見えたら,終わり。(原題:IT)(アメリカ,2017)

民放で放映されたので,見ました。面白かった。ただ,民放用にかなり編集(カット)されていたので,やっぱり,全編ノーカットで見ないとダメですね。この「イット」は,もともとはテレビ映画の「IT」(1990)のリメイク。原作はスティーブン・キング。どっちのペニーワイズが恐いかって言えば,そりゃもう,断然,1990年版のティム・カリー演じるペニーワイズ。2017年版のビル・スカルスガルドのペニーワイズは,怪物的に恐くしようとしているのに対して,ティム・カリーのペニーワイズは,実際にいそうで,それでいて不気味。気持ち悪い。夢に見るのは断然こっち。というわけで,久し振りに1990年版を見たくなりました。それから,公開中の続編も見たい。

★★★



2019年11月11日

怪物はささやく(原題:A Monster Calls)(アメリカ・スペイン,2016)

悲しいけど,とっても良い話。

両親は離婚,一緒に住む母親は不治の病。父親は外国で再婚。祖母は頑固で厳しい(けど,悪い人ではない)。学校ではいじめに。誰も自分の孤独さ,さみしさ,苦しさを分かってくれない。そんな主人公のコナーのところに,ある晩,恐ろしげな木の巨人がやってくる。時刻は12時07分。自分がこれから3つの物語を話すから,お前は4つ目の物語を話せと迫る。

★★★


2019年11月10日

ローガン(原題:Logan)(アメリカ,2017)

ウルヴァリン,死す。地球外金属アダマンチウムを注入されて最強の爪を得たローガンが,そのアダマンチウムの副作用で,徐々に体が蝕まれていく。もともと不老不死的な生命力・回復力を誇っていたわけだが,副作用で「老化」するウルヴァリン。爪は短くなり,膿も出る。膝が痛い。老眼が進む。咳が止まらない。体がだるい。アルコール依存。アダマンチウムでできた銃弾でしか死ねない彼は,それをお守りのように(自殺用に)持っていたが,そんなことをしなくても,死は近いと感じている。

不老不死とか超人的な肉体とか,うらやましいと思う一方で,どんなに痛くても死ねないミュータント,周りはどんどん死んでいくことを見届けなければならないミュータントの運命は,想像を絶する苦しみだと思う。年老いて認知症の徴候が見られるチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)を介護する姿は,まるで親子。まぁしかし,話としては平凡。




2019年10月6日

シグナル(原題:The Signal)(アメリカ,2014)

うううむ,なんだかよく分からない映画でした。これはなんで?これは何のために?これはなに?どういうこと?行為や場面には何かしらの意味があるのだろうと思うから,行為の意味がなかったり,仮になかったとしてもどこかで回収される伏線だったりするならいいけど,そうじゃないと,さっぱり意味が分からないのでただ混乱するだけ。この映画,数々の「なんで?」「どうして?」が多すぎて,良く分からんぞ,という感じ。でも,とりあえず,その良く分からなさがいつか回収されるのだろうと期待するもんだから,最後まで見てしまった。オチとエンドロールを見て,ううううむ,どうなんだ,これ。

アイディアは良いんだけど,いろいろ回収されてない。出発は良かったけど,一体どこに行きたくて,どこに着地したかったんだ,脚本と監督は。



2019年9月19日

ブラジルから来た少年(原題:The Boys from Brazil)(イギリス,1978)

第二次大戦後,南米で逃亡生活を続けるアウシュビッツの元医師,ヨーゼフ・メンゲレ博士。「死の天使」とあだ名されたメンゲレ博士は,アウシュビッツで人体実験を繰り返した実在の人物。

このメンゲレ博士のマッドなナチス復興計画と,それを阻止しようとするナチ・ハンター,リーベルマン。狂気のメンゲレ博士役は,かのグレゴリー・ペック(ローマの休日)。メンゲレ博士,そのマッドサイエンティストぶりに,最後は仲間(ナチ残党やネオナチ)からも見捨てられます。ヒトラーっぽいちょび髭と,変なドイツ語っぽい英語のしゃべり方が,良い。

しかし,タイトルからは想像もしなかったストーリーでした。原題の「Boys」と複数形を見ていれば少し違ったかも。ああ,そういうことか,と。だから,「ブラジルから来た少年たち」でも良いけど,それだとなんだか団体でご来訪,みたいな感じなので,まぁ,「少年」で良いでしょうね,やっぱり。

だいたい3分の2ぐらいのところで,ほほう,そういうことね,と分かるわけですが,それまでは,何がどういう話なのかよく分からないので,不思議な感じがします。ただ,1978年の映画なので,ナチの残党が亡命中だとか,「メンゲレ博士」という人物がどういう類いの人物かとか,それなりにまだ知られていた時代だとすると,リアリティを持って想像できるかもしれません。

★★


2019年9月12日

プリデスティネーション(原題:Predestination)(オーストラリア,2014)

ややこしい。でも,このややこしさがこの映画のポイント。見終わった後,何度も頭の中で映画のストーリーを反すうしてます。プリデスティネーション(predestination)は,「運命」「宿命」って意味ですね。話としては,よくできています。

とあるバーを訪れたジョン。中年に差し掛かった彼は,店のバーテンダーに,自分の数奇な人生を語る。

★★


2019年9月10日

いぬやしき(日本,2018)

ノリさんがロボットに。

しがない中年サラリーマン。あこがれのマイホームとそのローン。娘や息子や奥さんとのディスコミュニケーション。

そんな親父がなんでスーパー万能ロボなのか。ロボになった理由(原因)はあるんだが,なんでこんなマニアックな戦闘ロボなのか,なんでこんな能力があるのか,そこんところの説明は一切なし。とにかくスーパー万能ロボ。

メカは秀逸。戦闘もリアル。ノリさん演じる主人公・犬屋敷壱郎も渋くて良い。でも,とんねるず世代としては,やっぱり,ノリさんはノリさんに見えてしまう(笑)。




2019年9月9日

オール・ユー・ニード・イズ・キル(原題:Edge of Tomorrow)(アメリカ,2014)

近未来。宇宙からの侵略者「ギタイ」との戦争で,人類は圧倒的に不利な形勢。アメリカのメディア担当ケイジ少佐は,前線に出ることを拒んだために脱走兵となり,一兵卒として出撃することに。実戦経験の無いケイジは速攻でやられて死ぬのだが,するとまた,一兵卒として出撃するところで目が覚める。やがてこれを繰り返す時間ループの中にはまる。

面白い。よくできている。時間ループなのでややこしいところはあるけれど,そのややこしさをあんまり混線させないところで,疑問をあんまり挟ませない程度に,うまくつないでいる。主演はトム・クルーズ。

しかも,これ,原作は,日本のSF作家・桜坂洋氏。小説のタイトルも『オール・ユー・ニード・イズ・キル』。映画タイトルの原題は,Edge of Tomorrow。訳せば,「明日の際」あるいは「明日の勝利」でしょうか。

『ミッション:8ミニッツ』とコンセプトは似てるけど,けっこう違う。絶対に面白い。

★★★★


2019年9月5日

カメラを止めるな!(One Cut of the Dead)(日本,2018)

なるほど~。そういうことか~。

いやはや,2018年度を独走した超話題作だったので,偶然観る機会がようやく得られて,さてさてどんな映画なんだとちょっと期待しながら見始めたら,なんてチープなゾンビ映画なんだと思って「おいおい,これが超話題作かよ」と落胆していたのは最初の10分ぐらいだけ。見ているうちに,あれ,何だかおかしいぞこの映画,と感じながら見ていると,30分ぐらいから「どういうこと?」「おお,そういうこと?」「なるほど~」となります。

これはすごい。うううん,唸らせる映画。映画的映画。話題になるのも納得。一度は観た方が良い作品。そして,記念すべき,このブログ初めての邦画。

★★★


2019年8月20日

マッドマックス 怒りのデスロード(原題:Mad Max: Fury Road)(オーストラリア,2015)

かのマッドマックスの第四弾。メル・ギブソンではなくて,トム・ハーディ。マッドマックスの世紀末世界をとことん先鋭化して,マシンや衣装も凝りに凝って作られてます。

が,しかし,単調です。マッドマックスファンには堪らない作品なんだろうけれど。見終わった後に,あんまり感動はない。実は,一度途中でつまらないと思って見るのを止めたんですが,(映画史に残る?有名な映画だし)ちょっと気になったのでもう一度初めから見てみました。でもやっぱりつまらなかったなぁ(最後まで見たけど)。マニアックすぎるのか。




2019年6月26日

バトルフィールド・アース(原題:Battlefield Earth)(アメリカ,2000)

渋い!1000年前に滅亡した地球文明,鼻に付ける呼吸装置,超ハイレベルの文明・科学技術を有する割にお互い欺し合いばかりの自己中心的で俗悪なサイクロ人。サイクロ人はみなでかい。腕も頭もでかい。

そして,ジョン・トラボルタが悪い宇宙人(地球におけるサイクロ人の指令隊長)役で,憎々しさ満点です。

地球人は,奥地に隠れ住むかサイクロ人の奴隷になっているわけだけど,後半,さすがに7日間で戦闘機が乗れるようになるってところはちょっと無理があるね。でも,そうした映画的ご都合主義には多少眼を瞑っても,面白い映画です。世界観がいい。

★★★


2019年6月14日

タクシー・ドライバー(原題:Taxi Driver)(アメリカ,1976)

ベトナム帰りの26才・トラヴィス。食うためにタクシー運転手になって黙々と働くが,都会の雑踏を縫って走る中,満たされない思い,何とも言えない我慢ならない気持ちが鬱積する。この世界,この状態から何とか脱出したくて悶々とする日々。

なんと言ってもデ・ニーロが若い!トラヴィスは不器用な男。でも若いからエネルギーはある。しかし,どうしていいか分からない。鬱屈した毎日。何とかしなくては。

しかし,最後はなんとなくハッピーエンド風になってますが,これで良いのか。どうなんでしょう。

★★


2019年5月20日

スノーピアサー(原題:Snowpiercer)(韓国・アメリカ・フランス,2013)

風刺映画です。温暖化対策で打ち上げた薬剤が原因で氷河期となり,生物はすべて死滅した地球で,唯一17年間走り続けている列車。1年間で世界を一周する。最後尾(最下層)の車両に済む住人は反乱を企て,先頭車両へと向かう。

どうして走り続けられるのか?水や食料は?といった疑問は徐々に明かされる。ただ,「17年間」これを維持することにリアリティはあんまりない。せいぜい「3年間」ぐらいが良かったなぁ。だから,近未来SF映画というよりは,社会風刺映画です。一つ一つ風刺が分かりやすすぎる。でも,わざと分かりやすすぎるように作ってるから,映画全体がギャグなんだろうと思う。なんていうか,風刺映画をさらに風刺している?映像は全体にとても綺麗です。カットや装置も綺麗。そのうち,カルト映画化するんじゃないか,これ。

タイトルのpierceはピアス(突き通す,穴を開ける,貫通する)ね。氷の世界を貫通する列車という意味もあるし,最下層の住人が先頭に向かって車両を突き進むという意味もあるし,貧困層が富裕層を打倒する,という意味もあるかと思います。全体にメタファーが分かりやすい。

★★★



2019年5月10日

アライバル─侵略者─(原題:The Arrival)(アメリカ,1996)

宇宙観測所に勤める天文学者ゼイン(チャーリー・シーン)は,ある日,宇宙からの謎の電波を受信する。地球外生命t体(異星人)からの交信に違いないとNASAの上司に掛け合うが,その場で逆に解雇されてしまう。諦めきれないゼインは,自作のアンテナで観測を続ける中,メキシコからも同じ電波が発信されていることを発見するが,その一方で宇宙観測所の同僚が謎の死を遂げる。

異星人はすでに地球に来ている(They have arrived)という,いわゆる陰謀説映画。これ,ものすごく前に民放で午後にやってるような映画番組枠で観たことがありました。ああ,あの映画の記憶はこれだったか。そうやって覚えているぐらいだから,話としては面白いです。

★★



2019年4月24日

パシフィック・リム(原題:Pacific Rim)(アメリカ,2013)

ある日,太平洋の海溝から,巨大生命体が出現。それは”Kaiju”と名づけられた。次々と出現しては都市を破壊するKaijuは,日ごとに出現頻度が高くなり,巨大化し,電磁波や酸の放出などの特殊能力も増えて行く。これを迎え撃つのは,人類の開発した巨大人型兵器「イエーガー」。果たして人類の行方は。

怪獣VS巨大ロボット。ロボットアニメがそのままリアルに実写化されていて,細部にギレルモ・デル・トロ監督のマニアックさが伝わる。ただ,バトルがいつも夜とか深海なので,是非,昼間にやって欲しかった。でも,この世界観はやっぱり面白い。今回,観たのは二回目です。

★★★



2019年4月22日

ミッション:8ミニッツ(原題:Source Code)(アメリカ,2011)

コルター・スティーブンス大佐は,気がつくと列車の中で,見知らぬ女性と向かい合って坐っている。その女性は自分をショーンと呼んで,親しげに笑顔で話しかけてくる。鏡を見ると見たこともない別人になっている。混乱する中,シカゴ行きのその列車は爆発事故を起こす。再び気がつくと,コルターは暗い装置の中に閉じ込められていた。モニターに映る通信技官らしき女性はコルターに,これは列車爆発事故の8分前の乗客の意識に時空を超えて入り込み,爆弾とそれを仕掛けた犯人を捜す任務だと告げる。

これは面白い!近未来SFですが,細部にリアリティがある。もちろん映画なので「過去に転送される」というのはあり得ない設定だが,コルターの立場からすれば,もしそういう状況ならこうなるだろうというところがリアルだし,話が進むにつれて徐々に分かってくる全体像も,筋として破綻していなくて,ひっかかりなく,隙がない。100分ぐらいなのでコンパクトですが,非常によくできてる映画です。

★★★★


2019年4月17日

哭声/コクソン(原題:The Wailing)(韓国,2016)

田舎の村,谷城(コクソン)。そんな田舎である日,惨殺事件が連続して起こる。中年の警察官のジョングはある日,白い服を着た女に,犯人は山に住む日本人だと伝えられる。同じ頃,村では,山の日本人の悪い噂が広まっていた。そんな中,ジョングの娘が暴力的になる奇病に罹る。

山に住む日本人は,俳優・國村隼。みごとな怪演である。エクソシストとゾンビ,神と悪魔,民間信仰とキリスト教,人間特有の外集団差別。最後まで目が離せない。本当に悪い奴は誰だ。

★★★


ペイチェック 消された記憶(原題:Paycheck)(アメリカ,2003)

他社の機密技術を盗んで新製品を開発する天才エンジニアのマイケル。多額の報酬の代わりに,技術開発中の記憶を消すことがいつもの契約の条件。新しく持ちかけられた契約は3年間で報酬も莫大であり,マイケルはこれを受ける。気づけば3年経ち,多額の報酬を受け取るはずが,報酬はすべて放棄した後であり,さらには命を狙われることに。

未来ループSFという枠でもって,究極のご都合主義アクション・サスペンスを作ってみました,という感じ。悪くは無いけれど,映画の仕掛けというかテーマが「好都合」だから,通常の映画でも散見される都合の良い小道具や状況設定が,相対的に空々しく見えて,全部まるごと好都合に見えてしまって,微妙なB級映画になっている気がする。




2019年4月13日

メッセージ(原題:Arrival)(アメリカ,2016)

ある日,地球の各地に,謎の巨大物体が12機,突如現れる。どうやら宇宙人の乗り物のようであり,世界中がパニックになる中,各国は宇宙人とコンタクトを試みる。そんな中,アメリカの言語学者ルイーズは,宇宙人とコミュニケーションするために軍から協力要請を受ける。

味わい深い。映画らしい映画。コンタクトを試みるにつれ,鮮明に浮かぶ心象。あれ,この話,どうなってんの?段々と謎が解けていく。原作は『あなたの人生の物語』(Story of Your Life)という短編小説。なるほど,映画を観たら,タイトルの意味が分かります。

★★★


新感染ファイナル・エクスプレス(原題:Train to Busan)(韓国,2016)

娘のスアンとともに,別居中の妻に会いに行く,会社人間のソグ。プサンへ向かうソウル発のKTX(韓国の新幹線)に乗り込むが,やがて車内の様子がおかしいことに気づく。車内放送では,韓国各地で暴動騒ぎが起こっていることを報じている。

括りとしては,ゾンビ・パンデミック映画。そして高速鉄道列車の中という,縦に一本しかつながっていなくて,車両ごとにドアのある密室,というのがサバイバルの味噌。でもただのゾンビものではなくて,父娘の,ちょっと泣ける映画。仕事なんかより目の前の子どもの方が大事だよ。マッチョな旦那も高校球児もホント良いやつ。対して,あのバス会社の社長,こいつ最悪だわ。

★★★


2019年4月7日

モンキーボーン(原題:Monkeybone)(アメリカ,2001)

人気マンガ『モンキーボーン』の作者・ステュは内向的な男。『モンキーボーン』アニメ化のパーティを,恋人のジュリーと抜け出すが,事故に見舞われる。昏睡状態になったステュが,意識化へと沈んで着いた先は,自分がかつて考えた奇怪なキャラクターたちのいる街「ダークタウン」だった。当然,モンキーボーンも!

面白い。ヘンテコな映画だけど,ストーリーはそれなりにちゃんとしているし,話がどこも間延びしていないから,全編飽きない。登場キャラがそれぞれ立ってる。ギャグもいい。映像も綺麗。シャープだと思う。

★★★


2019年3月22日

ナイト・ガーディアンズ(原題:Nochnye Strazhi)(ロシア,2016)

速達便のアルバイトをしている冴えない青年・パーシャ。ある日,モスクワに来て失踪した人気女性歌手・ダナを,とあるホテルのロビーで見かける。彼女を助ける夢を何度も見ていたパーシャは,意を決して彼女の元を訪れるが,異形の者達に襲撃される。

日本未公開のロシア映画。主には一部のバンパイア(映画内ではグール)の反乱と,それを防ごうとする人間(連邦保安局)の戦いという図式だけれど,モスクワ(というか地球)には,バンパイア以外の色んな異種生命体が住んでいて,人間に化けて過ごしている,という設定。モスクワの地下鉄網で移動する連邦保安局が,ウルトラ警備隊かMIB的。




2019年3月11日

ゲーム(原題:The Game)(アメリカ,1997)

実業家のニコラスは,同じく実業家であった父親が自宅の屋敷で投身自殺をしたときと同じ48歳の誕生日を迎える。あるとき,放蕩三昧の弟コニーから,「CRS」というクラブの入会を勧められる。何の気なしに入会をしたのだが,徐々に周辺で不審なことが起こり始める。

かなり昔に一度見て衝撃的だった映画。今回,久し振りに見ましたが,やっぱり,映画らしい映画です。「映画らしい」というのは,現実的には不確定要素がありすぎるから,こんなに上手くは行かないだろうなぁと思う一方で,映画ならではの作り込みで持っていくラストの衝撃度は圧巻です。

★★★


2019年2月17日

ビューティフル・マインド(原題:A Beautiful Mind)(アメリカ,2001)

後にノーベル経済学賞を受賞する天才数学者ジョン・ナッシュ。大学院修了後,MIT内の軍事研究所に勤めるようになったナッシュは,アメリカ政府からロシアの暗号解読を依頼されるが,極秘任務の重圧からか,徐々に心が蝕まれていく。

分類するとすれば,サスペンス映画かな。実在する人物の半生を描いているわけですが,『葉問(イップマン)』と同じく,かなり盛ってると思います。だから,伝記映画と思わず,サスペンスあるいは人間ドラマとして観れば,よくできている。

思うに,内容を思わず反すうしてしまう作品は,良い作品(心に残る作品)なんだと感じました。これ,思わず反すうしてしまいます。

★★★


2019年2月10日

アイ・アム・レジェンド(原題:I am legend)(アメリカ,2007)

致死率90%のクリピン・ウィルスのパンデミックが起こり,人類の9割は死亡。免疫を持つ残りの1割も,その大半は「ダーク・シーカー」と化し,凶暴化して人間を襲うようになる。ネビル博士(3佐)は,ニューヨークでただ一人生き長らえながら,ウィルスの治療法を探す研究を続けていた。

一度見たことがあるので,二回目。誰もいなくなったニューヨークの映像は圧巻。ダークシーカーは,素早く凶暴なゾンビ的に描かれてますが,むしろ吸血鬼ですね。昼間は暗闇でじっとしていて,夜に活動する。紫外線に弱い。映画化は三度目,前作ではやっぱり吸血鬼だったらしい。

★★★


2019年2月9日

ゴーストライダー(原題:Ghost Rider)(アメリカ,2007)

悪魔メフィストと,父親の病気を治すことと交換に魂を売る契約をしたジョニー。大人になったジョニーの前に再び現れたメフィストは,ジョニーに魔界のアウトローを退治するよう命令する。

炎に包まれたドクロのマーベル・ヒーロー。愛車のオドロオドロしいアメリカン・バイクのタイヤからは炎が燃え上がる。スタイリッシュだけど,いまいち誕生の背景や戦う理屈がよく分からない。まぁ,マーベルだから,理屈はなんだっていいか。




2019年2月2日

イップ・マン継承(原題:葉問3)(中国/香港,2016)

「イップ・マン」(葉問)シリーズの第三段。詠春拳の達人・葉問は香港で道場を構え,弟子を育てていたが,英国統治の元,息子の通う小学校の土地買収に絡んで,英国人と街のチンピラとの戦いに巻き込まれる。その一方で,同じ詠春拳の達人・張天志との対決も余儀なくされる。

ブルース・リーのジークンドーのベースとなっている詠春拳の師匠・葉問を主人公にした創作であり,かなり盛っているけれど,ドニー・イェンのアクションを存分に見られてうれしい。冒頭に若きブルースも出てくる。敵ボスはマイク・タイソンですが,アクションや演技は微妙。

★★★



ローグ・ワン(原題:Rogue One)(アメリカ,2016)

スター・ウォーズのエピソード3とエピソード4の間にあたるスピンオフ。惑星をも破壊する究極兵器デス・スターの開発者の娘ジンは,やむなく帝国軍の軍門に降った父を信じて,デス・スターの弱点を突くための設計図を奪取する作戦を敢行する。

帝国軍のターキン総督は,エピソード4ではかのピーター・カッシングですが,なななんでローグ・ワンに出てるの?そっくりさん?と思ったら,モーションキャプチャで顔だけ変えてるそうです。最後に出てくるレイア姫もそうらしい。いやすごい。

★★★


2019年1月27日

処刑惑星(原題:Hunter Prey)(アメリカ,2009)

荒涼とした砂漠と岩ばかりの未知の惑星に墜落した宇宙船プロメテウス号。護送していた捕虜が脱走してしまう。追うのはシドニア星人の兵士・ケンタウリ,逃げるのは捕虜の地球人・ジェリコ。シドニア星と地球は戦争状態にあり,地球人・ジェリコは地球最後の大攻撃の鍵を握っているため,シドニア星人・ケンタウリは何とか捕まえなければならない。タイムリミットは100時間。

いやしかし,なんともすごい低予算映画。ひたすら荒野と砂漠でケンタウリとジェリコが追いかけっこ。最初に高圧的なシドニア星人の上官,途中にジェリコを狙う賞金稼ぎが登場するけれど,セットは一切なし(最後に,宇宙船内部と思しき倉庫みたいなところがほんの少し出てくるけれど)。

でも,最後まで見てしまった。だから,全くもってつまらない映画,というわけではない。シドニア星人の使うハイテクな装置(通信や追跡や治療)とローテクな武器(手裏剣やナイフ),そしてその容貌やヘルメットがいかしてます。ジェリコとの駆け引きもそこそこ。